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ちょっと本を作っています

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第二章 したたか女はイイ女

第二章 したたか女はイイ女




自分の特徴を作ってみてはいかがですか

「○○さんって、知ってる?」

「ああ、あのメガネをかけた人ね」

これだって、個性です。差別化です。自己主張なのです。たとえ伊達メガネでもね。

みんなが名前を口にしたときに、彷彿として沸いてくるあなたのイメージ。それが必要なのです。


これは男性の私の話ですから参考にはならないかも知れませんが、一例を挙げてみます。

だいぶ以前、私は仕事で官庁回りをしていました。出版の仕事です。

中央官庁には来訪者が多くて、担当官のところには、ひっきりなしにお客さんがきています。

出版なんて、担当官からすれば本業外ですから、なかなか相手にしてもらえません。

おまけに同業の出版社からも、足しげく通ってきているのです。

訪ねて行くたびに、「えーっと、おたくはどちらさんだっけ?」って聞かれる有様です。

これでは一向に仕事の話までたどり着けません。そこで一計を案じました。

同じ担当官のところへ行くときには、前回と同じスーツと同じネクタイにしたのです。

毎回同じ服装です。さらに念押しです。上着の袖をワイシャツごと、捲りあげたのです。

これはどの担当官のところへ行くときも同じです。

官庁に入ると同時に、上着の裾を捲りあげる。これを習慣にしてしまいました。

あまり見映えのいいものではありませんが、いかにも仕事をしているように見えるし、ほかにはそんな人はいません。

この演出は強烈でした。

中央官庁の課長クラスはおろか、事務次官さんたちまで、私の名前を覚えてくれました。

もちろん仕事は、ガッポリと貰ってきました。


ね。個性ってのは、演出でしょう。

美を競いあったり、スマートさを競いあう前に、あなただけの特徴を作ってしまえばいいのです。

フォーマルな装いに身を包まなければならないときや、ちょっと気取ってお出かけするときをのぞいて、自分のベーシックなファッションを決めてしまうのも、一つの方法です。

あるいは自分のイメージカラーを決めておくこともね。



演出を考えた後は、そりゃあ演じきるしかないでしょう

本当の自分と、演技している自分を、使い分けることも大切です。

人間誰しも、自分という人間を演じています。

子供が勉強しなければと思う動機も、成績が上がって喜んでくれる、親の顔見たさといったことがほとんどです。

もの心つかないような子供のころから、もう一人の自分を演じているのです。


誰もが、周りの人に好かれたいがために、たぶんこのように振舞えば、好感をもってくれるだろうといった行動を取ります。

恋をした相手が望むようなら、趣味や性格さえも変えるのは、不思議でも何でもありません。

職場の上司の期待に応えるように頑張るのも、演技の一つといえます。

すべての人は、産まれ落ちた瞬間から、その人の中ではヒーロー・ヒロインです。

ただ社会という舞台のうえで、主役を演じたり、脇役を演じたり、ときには観客の役割りさえも演じているにすぎません。

本当の自分は、あなたの人生物語を描く、シナリオライターです。

その筋書きを書き換えることができるのは、心の深層に潜む、本当の自分しかいません。


女性はすべからく、みんな名俳優です。

ブリッ子といわれた松田聖子さんだって、いまだにイメージどおりの自分を、演じつづけているではないですか。

その存在感たるや、素晴らしいものです。

人が思い悩むときって、演技している俳優としての自分だけが存在して、もう一人の本当の自分を忘れてしまっていることが多いようです。

特に女性の場合、役柄になりきってしまって、その重圧に苦しんでいることも多いようです。

女性でウツ病に悩む人が多いのも、そのようなところに原因があるのかも知れません。

常に、演技している自分を見つづける、もう一人の自分の存在が必要なように思います。


ときには性格づけや自分のイメージのリセットをすることも必要です。

男性ならば、配置転換や転職のタイミングで、役柄どころか性格さえも、リセットする人が結構見受けられます。

転職したので訪ねて行ってみると、前の職場では考えられなかったぐらい、バリバリと仕事をこなしていたり、急に物静かで落ち着いた雰囲気になった姿が見かけられます。

女性は、家庭に縛りつけられているので、リセットのタイミングが難しいようです。

でも、いままでの自分の役柄を演じつつ、新しい自分の役柄へと切り替えることもできます。

女性はすべからく、生まれつきの名俳優なのですから。



女性にとって、男性操縦法も必須課目です

なぜそれが必要かの理由は簡単です。この世の中は女性が中心だからです。

だって、「原始、女性は太陽だった」って平塚さんが断言したのでしょう。

女性が群れの中心なのは、蟻さんや蜂さんが証明しています。

ライオンさんやゴリラさんは、一見男性が中心のようですが、その男性の実態たるや哀れなものです。

ちょっと力が衰えると、群れから放逐されるのですから。

結局は野生動物の群れってのも、女性軍団に踊らされた男性の、ひとときの栄華にしかすぎません。


ところで、男性の扱いかたなんて単純なものです。おだてりゃいいのです。

もっともこの方法は、女性にも有効です。

ただ男性のおだてかたは、一つのポイントさえ押さえておけば、これほど簡単なことはありません。

これは銀座の某有名クラブのオーナーママに指摘されました。

彼女、男性はプライドの生き物だってのたまうのです。

男性はいつもヒーローでいたいものなんですって。

言われてみればちょっとシャクにさわるけど、思いあたることが多々あります。

彼女の文章を引用してみます。


………ますます女性の強さが目立つ時代になりました。

けれども男性というのは男としてのプライドを心の奥底にもちつづけています。

本音では、どんなにきつくて逃げだしたいほどであっても、泣き言はいわず、オレがお前を守ってやるんだというような、カッコイイ男性像を自分の中にもっている方が多いのです。

……中略……

クラブというのは、そうした男性方がヒーローになれる空間なのです。

ですからホステスは、常に男性をヒーローにした物語を、演出する必要があるのです。………
 

ね。世の男性が、高いお金を払ってクラブなんかに通うのも、裏にはこのような事情があったのです。

このママさん、さらにズバリと明言しています。女が欲しけりゃ、ホテトル嬢のほうがはるかに安いと。

出会い系サイトなら、さらに安いとまで言い切っています。


笑顔と、涙と、甘い言葉。

なんで神様はこんなに多くの武器を女性に与えたのか。

たぶん神様は男性だから、女神さんたちにヒーローに仕立てあげられて、いい気になって、下界の女性にまで大盤振る舞いをしたのだと思います。



目は口ほどにものをいい

誰だってそうですが、より男性は、説得されることを嫌がります。

常に会社や仕事で、説得されたり、命令されたりで、いやいやでも仕事をこなさざるを得ない状況に追い込まれているからでしょう。

さらに家に帰って、

「いつも言ってるでしょう。これぐらいはやってよ」

だとか、

「○○が○○でしょう。だから○○なのよ」

なんて調子の三段論法で責め立てられると、しぶしぶは手伝ってくれても、不満だけが残ります。

「ねえ、お願い」、ニッコリ。このほうがはるかに雄弁に納得させることができます。

説得じゃなくて納得させること、これも男性操縦法のコツの一つです。


そのときに大切なのは、目線の使いかたです。目は心の窓っていうでしょう。

まして深い神秘の湖のような女性の目は、男性をその気にさせる、秘密のアッコちゃんのペンダントみたいなものなのです。

でも、あなたの目線、死んでいませんかね。

ゆっくりと鏡の中の自分を見つめてください。目が死んでいませんか。

何をやってもうまくいかないときって、目が死んでいることが多いのです。


人は話をするときに、相手の目を見つめます。

相手の言っていることが本当なのか、相手の想いがどの程度なのかを、目から読みとろうとしています。

あなたが何をやってもうまくいかないと悩みごとを抱えているときなどは、目線から力がなくなっているでしょう。

電車に乗ったときに、周りの乗客の目を見つめてください。

「おっ、この人は生き生きしているな」

とか、

「人生に疲れているな」

とか、

「怠惰な生活を送っているのではないか」

とか、一人ひとりの目から、読みとれるはずです。

高価なバックや服装よりも、目のほうがはるかに雄弁に、その人の置かれている状況を物語ってくれます。

今度は逆に、あなたが周りの人からどのように見られているか? 

意外と意外で、やはり服装よりも、目の勢いや顔の表情で見られていることが多いものです。

まして夫や恋人なら、意識せずとも気になるものです。



笑顔以上のメイクアップはどこにもない

男性操縦法の集中講義です。

ものはついでですから前出の銀座のママの言葉を引用します。


………お客さまがお店に入っていらっしゃったとき、飛んでいって「いらっしゃいませ」と満面の笑顔で迎えたときと、席についてからご挨拶に行ったときでは、お客さまの受ける印象が、まったく違ってしまいます。

……中略……

男社会では瞬時に、ここは自分が受け入れてもらえる場所なのかを、判断しなければならない場面も多くあります。

そんな状況に慣れているお客さまは、出迎えたときの表情一つで、自分がどう思われているか察してしまうのです。………


第一印象を形作るものが、ファッションや姿勢や仕草、表情などのトータルな印象であるにしても、一番大切な要素が、「あなたと会えたことを喜んでいます」という笑顔の表現であることは間違いありません。

恋人同士だってそうですが、想いは態度で表わさなければ、自分が思っているほどには伝わっていないのです。

まして、恋人歴の長~い人、結婚している人なら、その想いなんて日常の中に埋没してしまいます。

恋人に会ったり、結婚している人ならご主人が帰ってきたときに、一度試してみたらいかがですか。

いつもと違って最初からニコニコでは、見抜かれます。

さりげなく話をしながら、急に会話を中断させてニッコリ微笑んでください。

さあ彼氏の反応はいかがでしょうか。


「どうした?」

「なに? オレなにか変なことを言った?」

ここでさらにニッコリですよ。

「ううん。あなたといっしょに居られて幸せだなーって思っただけ」

これで、恋人ならプレゼントをゲット。

ご主人なら毎日の帰りが早くなるでしょう。


笑顔の作りかたに自信のない人は、鏡を見てニッコリと微笑んでください。

鏡の中のあなたが、微笑み返してくれます。

練習ですよ練習。常日ごろからの訓練です。



したたか女はイイ女

ときどき勘違いする女性がいるのですが、したたかとワガママは違うのです。

ワガママってのは、自分勝手ってことですよね。そりゃ、ワガママは嫌われますよ、ワガママは。

チョットすねての、可愛いいワガママなら許せますけどね。

したたかは何があっても動じない、心の奥底に自分の目標を定めて、粘り強く、さらには柔軟にものごとを進めることをいいます。

それも、相手に気づかれないようにね。


男性を引きつけたり、こちらの希望をかなえさせるための手段は、もうお分かりでしょう。

フェロモンぷんぷんだけではダメなことも分かりましたね。念のために要点をまとめると、たかが三点です。

まずは男のプライドってやつをくすぐること。

次に目で話すことと、説得じゃなくて納得させること。

最後に笑顔が決め手だってことです。


さてこれからが本題です。方法や決め手は分かりました。

でもね。得意技ばかりを連発していても、相手に感づかれれば効果が消えてしまいます。

ヤワラちゃん、谷亮子さんだって、得意技へもち込むために、いろいろな布石を打っているのです。


次には、シナリオを描けるかどうかが問題です。あなたと彼氏のラブストーリーでもいいのです。

自分がその役割りを演じるだけでなく、相手にも無意識のうちに役柄を自覚させなくてはならないのです。

まず、あなたが彼と結婚したいのなら、

「彼女と結婚することがオレの人生の目的だ」

ぐらいのことを思わせなければなりません。

あるいはあなたが結婚しているなら、

「ウチの女房は山之内一豊の妻みたいな女だ。その期待に応えよう」

ぐらいのことを思わせないとね。


そのために必要なのがシナリオであり、二人の物語のストーリーです。

シナリオライターはほかでもない、あなたなのです。

そうしないとヒロインの座は確保できないのです。

どれほどあなたが飛び抜けた絶世の美女でもね。

楊貴妃さんを思いだしてください。クレオパトラさんを思いだしてください。

彼女たちは唯々諾々と男性に従ったのではないでしょう。

彼女たちの描いた筋書きによって、多くの英雄豪傑が踊らされたのです。

いわんや小人おやです。


シナリオライターとヒロインの二つの役割りが果たせたとき、それがイイ女なのです。

あなたが君臨する世界が、それこそ無限に広がります。だからしたたかさも必要なのです。



真の強さを心に秘めた女性って

考えてみてください。

これがもし、相手を身近な男性と想定して、日ごろは目立たないけれども、イザってときは獅子奮迅の力を発揮する人だとしたら。

それもあなたのためなら火の中、水の中を厭わないとすれば。

そりゃあなただって、身も心も捧げたくなるでしょう。

男性だって同じです。

地味で、日ごろは目立たない女性でも、自分のためや家族のためには、すべてを投げ打ってでも尽くす人なら……。

そのときには、美貌もファッションセンスも、ちょっと太めだろうとなんだろうと、どうでもいいことですよね。

だから同じなのです、男も女も。


ただここで問題なのは、いまの時代の中での男と女の役割りです。

いまも、世界中で血なまぐさい争いが絶えません。

そのような世界では、男はより強くなければならないし、女はまさしく、したたかに生き延びなければなりません。

現在の日本のような平和な世界のほうが、歴史的に見ても、現代の地球を鳥瞰してみても、まれな世界なのです。

だからといって、そのような激動へ対処できる、したたかさや強さの話をしているわけではありません。

目の前の、平和ないまの日本での、男と女の駆け引きの話です。

私たちを取りまく環境が平和であればあるほど、みんながみんなドングリの背くらべ状態に陥っています。

平和を維持しながらも、新たな夢の世界へと漕ぎださなければならないのです。


若かろうと年を取っていようと、この世には男と女しかいないのですから、どのような年齢層であろうと男と女のラブゲームはつづいています。

またそれを心の奥に秘めてこそ、内面からの色気がでてくるのではないでしょうか。

女はもちろん、男だって、そこはかとない色気が感じられる人は、一緒にいるだけで楽しいものです。

より数多くのラブストーリーやドリームファンタジーを描くことができたら、そして、あなたの周りの人たちを素晴らしい舞台の登場人物へと導くことができたら……。


月も、金星も、火星も、そして地球も、太陽の光を受けて光り輝いています。

その人がいるだけで、周りが明るく生き生きとしてくるような存在が必要なのです。

だから女性は太陽なのです。無限のエネルギーを蓄えた真の強さを心に秘めた。

やはり、可愛い女を演じるだけでは、ただそれだけのことに終わってしまいます。

これでは自ら、テーブルの上の一輪の花になっているにすぎません。

真の強さとしたたかさを備えていないとね。



元気の元は、イミテーション・ラブ

バーやクラブが高いお金を取っているのに世の男性方が通うのは、実はイミテーション・ラブにあります。

お客もホステスも、実はイミテーションと知りながらも、恋人同士を演じているのです。

つかの間の、青春を思い出すひとときと言えるかもしれません。

まさにクラブは世の男性方の、大人のディズニーランドなのです。

「オレは、まだまだ頑張れる」

銀座や六本木を徘徊していると、そのように自分に言い聞かせている男性群像を垣間見ることができます。

男性も、そして女性も、心のときめきを失うと、急激に年老いていきます。


浮気は困りますが、常に誰かに、あるいは何かに心ときめかせる異性でないと、魅力はどんどん減退していきます。

男も女も、そこはかとない色気が感じられないと、無味乾燥な、哀れな存在にしか過ぎなくなってゆきます。

あなたは、自分の虜になったミイラのような男性をお望みですか。

たぶん、いつまでも周りがうらやむような、素敵な男性でいて欲しいと願っているのではないでしょうか。

自分以外の相手に、恋愛感情や浮気をされては困りますが、恋心だけは忘れないような男性へと仕向けていくことも必要です。

同時にあなた自身、常に恋心を持ちつづけることも必要ではないでしょうか。

男性に対抗して、ホストクラブへ通うようだと、これまた行きすぎです。

でも、周りを見渡せば、胸のときめく相手が、無数にいるのではないでしょうか。



愛すると言葉でいうことの意味

外国映画で一番でてくる言葉は、「アイラブユー」ではないでしょうか。

なんでそこまでアイラブユーを連発しなければならないのか、不思議でした。

いまから数年前のことです。あるフィリピンの女性と私は知り合いました。

大学の後輩が足しげく通っていたクラブで働いていたのです。

彼女は子持ちだったものですから、お互いの子供の自慢話など、ちょっとクラブでの話題にはふさわしくないような話で、私たち二人だけが盛りあがっていました。

彼女の本名はマリーナ・ルビー。スパニッシュ系です。

そんな高いお店、私の財布は拒絶反応を起します。

ですから、そこそこ大きな会社の社長をしている後輩に連れて行かれるときや、私の取引業者さんが負担してくれるときだけ、顔を出していました。

それでも彼女から、電話だけは毎日かかってきました。


半年ほどすぎたころの話です。

「ねえ、愛しているって言ってくれない?」

そりゃ慌てますよ。そんな気がないっていったらウソですが、急に何をいいだすんだって。

さらにもう一度うながされて、おずおずと「あー、愛しているよ」って応えました。

日本人ってシャイだから、なかなか言葉がでてこないものですね。

「うれしい! 私、愛してるよ、○○を」

たったこれだけの話ですが、そのあと、いま現在に至るまで、彼女が日本にきているときには毎日、フィリピンへ帰っているときでも二週間に一度ぐらい電話がかかってきます。

会話は単純そのものです。

「愛してるよ」

「ああ、オレも愛してるよ」

「ムリしないでね」

「がんばれよ」

ただ、それだけです。

念のために断わっておきますが、私と彼女、男と女の関係は一度もないですよ。いまだかって一度も。

でもお互いのラブコールだけは、五年以上もつづいています。


愛するって言葉の意味。

お互いがお互いのことを、「大切に思っているよ」「見守っているからね」って意味のように私には思えてきました。

すごく大切なことを彼女から教わった気がします。

最初は抵抗のあった「愛しているよ」って言葉が、スムーズにでてくるようになったのも、彼女のおかげだと思っています。

彼女、売れっ子ホステスだったのですが、やはり遠く日本まできて、それも子供をフィリピンに残して出稼ぎにきて、心にポッカリと穴が空いていたのですね。

「○○がいなかったら、私こんなに長く日本で働けなかった」

子供がアメリカの医科大学へ留学することが決まったときに、彼女がいってくれた言葉です。



愛される資格

「お金もちにはお金じゃなく、貧乏人にはあと少しのお金」

これは、前出の銀座のママさんに聞いた、水商売での格言だそうです。

実現しそうで手が届かない。馬の目の前にニンジンをぶら下げているようなものです。

この距離感の取りかたがホステスの極意だそうです。


確かにそうですね。

お金もちに、お金を出してくれれば、身も心も捧げますなんていおうものなら、その瞬間に相手の情熱も醒めてしまいます。

すぐにも手に入るもののためには、誰も情熱は注がないのです。

「お金は要りません。あなたの時間をください」

といえば、その相手にとって、できそうで、できないことだから、想いも募ります。

逆に、時間はいっぱいあるけれど、お金のない人だったら、あと少しのお金さえあればと、これまた想いが募ります。

努力もしてみようって気にもなります。


愛されつづけるためには、お互いの距離感が大切です。

ダイヤモンドだってプラチナだって、貴重でなかなか手に入らないから欲しいのじゃないですか。

道ばたにゴロゴロ転がっていたとしたら、身につける気にはなりません。

愛されるってことも同じです。

努力をすれば手に入ることが見えていて、それでもなかなか手に入らない何か。

それがお互いの中にあるならば、その愛は永遠です。

男も女も人間って、常に夢を追いかけて生きているのです。


美人であるとか、可愛いとか、スリムでキュートであるとかも、愛するキッカケにはなりますが、単なるキッカケにすぎません。

このことって大事なことだと思うのです。

あなたの欲しいものは、一瞬の愛だけですか。

愛されつづけること、そしてあなたのことを何にも、そして誰にも増して大切に思ってくれることではないでしょうか。

そのためには、相手があなたを愛しつづけるように、馬の目の前にニンジンをぶら下げる努力が必要です。

必要なのはラブゲームを楽しめる、あなたの心の余裕です。

いつも何かを期待させ、それなのになかなか手に入らない存在。

愛される女、イイ女の条件って、意外とこのようなところにあるのかも知れません。



あなたたち、共通の目的がありますか

よくある話なのです。

飲食店や美容院の仕事で、二人の店を持ちたいと頑張っている夫婦がいたとします。

朝から晩まで必死で働き、ようやくお店が持てました。

二人とも本当に頑張ったのですよ。三食を切りつめ、欲しいものも買わず。

家族一丸となって、頑張りました。

でもお店が持てたその日から、怠惰な日々が始まります。

ほぼ月々の売上げも見えてきて、先行きがおぼろげながらでも分かってくるのです。

先々のことが見えすぎてしまうってこともあります。

二人にとって、お店を持つことだけが目的だったのです。

あとは日々、同じことの繰り返しです。

お店を持つ前だって、同じことの繰り返しであったのですが、自分たちのお店を持つという目的が達成されたがために、お互いの目的意識がじょじょに離れていきます。

あれほど仲がよくて、お互いを支えあい、慰めあっていた夫婦が疎遠になってゆく。

すきま風がピューって吹き込んでくるのです、こんなとき。


白雪姫でもシンデレラでも、王子様と結ばれてハッピーエンドになるのですが、そのあとが大変だと思いますよ。

だってそうでしょう。白雪姫のお相手の王子様と、シンデレラのお相手の王子様の趣味は、何なのですか? 

彼らの人生目標は、何でしたっけ? そんなこと物語の中に出てこないですよね。

せいぜい分かるのは、カッコイイ王子様だってことだけです。

これじゃ以前流行った、三高の男性の基準と大差ありません。

男性と女性が愛し愛されるためには、常に共通の目的を持ちつづけることが必要ではないでしょうか。

女性の立場からだけでなくて、男性にとっても大切なことのように思えるのです。


それがおうおうにして、男性は、仕事の中に最大の目的を見つけてしまいます。

出世や事業の成功という、家庭とは切り離された世界での目標です。

これではいくら内助の功を発揮して家庭を守っていても、共通の目的からはほど遠いものになってしまいます。

二人だけの小さな目標でいいのです。そして一つ達成したら、すぐ次の目標を見つけることが大切です。

すぐに会社や社会に埋没するのが男性ですから、これは女性のほうがイニシアティブを握らないと、むつかしいですね。



自立できる女性、できない女性

ある弁護士事務所でのお話です。

私は、自己破産の本をまとめようと弁護士さんと打合せをしていました。

この弁護士事務所は、自己破産の取扱い件数では都内でも有数の弁護士事務所です。

「自己破産は一つの手段にしかすぎません。本人が立ち直るためのね」

このように前置きをしてから、さまざまな事例を説明してもらいました。

「ところで、私の口からはいえないのですが、いまそちらに何人かお客さんが見えておられますよね」

「このうち、どの人が立ち直り、どの人が立ち直れないか分かりますか」

振りかえると、それぞれの相談コーナーに女性三人と男性一人が座っていました。

「勘でいいんですか? そうですね、話を聞かないと分かりませんが、たぶんあの人とあの人」

私は本当の思いつきで、二人の女性を示しました。

「やっぱりね。お仕事柄ですかね。さすがです。私も同じ見方です。私の的中率はすごいんですよ」

なぜそのように思ったのか、自分でも釈然とはしていません。

「人に頼る姿勢、媚を売る姿勢が見えたのですよ、あなたには」

弁護士さんの判断基準は、単純なことでした。

美人かどうかは関係ありません。

それぞれの担当の弁護士さんと、話をしている表情や仕草が雄弁に物語っていました。


男性でも同じことがいえますが、人に頼ろうとする表情や姿勢はどこかに出てきます。

特にそれが、女性のほうが分かりやすいともいえます。

「結局また、同じことを繰り返して相談にくる人が多いのです」

「喉もと過ぎればってやつですね」

「誰かが助けてくれるって思う人は、自分のことを棚上げして考える人が多いのです」

「誰も助けてくれないと、周りを逆恨みするんですよ」

「甘えですかね」


足長おじさんに出あった少女は、足長おじさんに頼っていたでしょうか? 

白雪姫は、魔法使いが自分を助けてくれると思っていたでしょうか? 

違いますよね。二人の少女はけなげに、頑張っていたのです。人に頼らずにね。

本人が必死で頑張っていたからこそ、足長おじさんも、魔法使いも、喜んで協力したのだと思うのですよ。



愛されるキャリアウーマンの条件

時代は大きく変わったとはいえ、まだまだ男社会の残存物があちこちに横たわっています。

働く女性にとっては、いまだに越えなければならないイバラの道がつづいています。

自立を目指す女性にとって、どのような仕事に就けるかは大きな問題です。

だから必死になるのですが、この必死さが裏目に出ることが多いようです。

「あんな女の下で働くくらいなら」なんて言葉が飛びだしてきます。

良かれと思って夢中で進めた仕事が、逆に社内の人たちから冷たい目で見られることも出てきます。


そのようなとき、男性社員の嫉妬は覚悟をしていても、社内の女性からも怨嗟のささやきを聞かされてはたまりません。

気丈に頑張ってきた女性が、ある日突然、緊張の糸がプツリと切れて空しく職場を去っていくのをいくたびか目にしました。

すべてが目いっぱいのところまで無理をして、ギリギリの努力をつづけていた結果です。

一体そこで、何が欠けていたのでしょうか。


私は、遊び心だと思います。

仕事はマラソンと同じです。長期戦なのです。

その途中途中では、駆け引きもあります。

ときにはショートスパートをかけて、相争う選手を揺さぶることも必要です。

でも一番大切なのは42.195キロを考えて自分のリズムを崩さないことです。

そのための最善の方法が遊び心だと思います。レースを楽しむのです。

仕事を遊びにできた人は、女性、男性を問わず、生き生きとして周りのスタッフを明るくします。

「やっぱり彼女でないとなー」

このように周りから受け入れられ、信頼され、期待され始めると、ますます仕事が楽しいものになってきます。


そういえば、仕事を遊びにすることの反対で、趣味を仕事にする女性がけっこういます。

これはこれでいいのですが、ときとしてせっかくの趣味を仕事にしたために、自分の生活を、無味乾燥な状況にまで追い込んでしまう人がいます。

仕事を遊びにするのはいいけれど、趣味を仕事にするときは、注意したほうがいいですよと私は言いつづけています。

前述のキャリアウーマンのとき以上に、自分で自分を追い込む危険性をはらんでいるのです。

なぜなら、趣味を通じての友人関係にまで、影響を及ぼすからです。

「あの人にとっては仕事だからね」

この一言が、すべてを失うキッカケにならなければいいのですが。



自立するということ

女性にとって、自立ということは二つの意味を持ちます。経済的自立と精神的自立です。

以前は困難だった経済的自立を果たしたキャリアウーマンも増えてきました。

しかし精神的自立のほうの問題が残っています。

必ずしも現代社会において、精神的な自立を果たした女性が増えていると思えないのです。

これは、男性に頼るって意味ではありません。

職場の中での精神的自立、家族や周りの人たちとの関係での精神的自立の問題です。生き方や思想・信条についてです。


独立して事業を起こした女性も数多く見てきました。

事業運営や方針については、時として男性よりもはるかに一徹です。

またそのことによって、着実に事業拡大をしている女性もたくさんいます。

ところが、思いや情熱が伝わってきません。その女性の人間性が伝わってこないことが多いのです。

戦術や戦略は男性よりも明確すぎるくらい明確なのに、思想・信条が影に隠れてしまっているのです。


いまだに弊害の残る男性社会の中で、まともに伍していこうとすれば、それもやむを得ないのかもしれません。

思想・信条は、付き合う相手を選ぶことになるからです。

思想・信条抜きの事業運営。そのことが、いわば自分を取り巻く社会に、媚を売っているに過ぎないことも事実です。

主張の明確さとは裏腹に、精神的には八方美人に成り果てているのです。

自分が何のためにこの世に生まれてきたのか。そのことを問いつづける努力が必要なように思います。

本田宗一郎さんや松下幸之助さんに学ばなければならないのは、意外と男性経営者よりも、女性経営者のような気がします。

もしかすると事業運営の戦術や戦略では、女性のほうが優れているようにも思えるのです。

それなのに強力な武器を持ちながら、その自らの武器に振り回されている女性が多いようにも思えます。



財布は三つのほうがいい

結婚してからの話です。妻の財布と、夫の財布と、家計の財布の三つです。

「当然、そうしているわよ」との答えが返ってきそうですが、それは表面的な便宜上の処理の仕方にとどまっている方が多いようです。

夫は小遣いの財布、妻はへそくりの財布、そして家計の財布の三種類の方をいまだに多く見かけます。

欠けているのは、一人ひとりの経済的な自立です。

もちろん、夫の収入だけに頼る専業主婦であっても同じです。

経済的な自立は、精神的な自立のためには不可欠なのです。


いま現在の専業主婦の場合、家計の収入を夫に頼っているって意識が強すぎる人が多すぎます。

何もせずにゴロゴロとヒモのような生活をしているのなら別ですが、ほとんどの専業主婦は、家事や育児、ときには介護にと忙しい日々を送っているのではないでしょうか。

だったら、夫の収入の半分は、あなたのものです。

少なくとも家計のために費やす経費を除いた分の半分はあなたのものです。

堂々とご自分の財布と通帳を持つべきなのです。

さらに家計はあなたがつかさどっておられるのでしょうから、家計のやりくりで浮かせた分は、これまたあなたの分です。

家計の分の経費削減で浮かせて貯めたのが、本当のへそくりです。

「夫の小遣いが少なくて、表で恥をかかせたくなくて」

このように思って渡す分は、あなたから夫への小遣いなのです。

そのことに感謝しないような夫には、家事のサボタージュで抗議しましょう。

時には食事を与えないストライキ、一言も口をきかないテレビ前の座り込みもいいでしょう。

でないとクセになってしまいます。

心の自立は、経済的自立から。これが鉄則です。

「でももし別れることになったら、私、仕事もないし……」

その弱気が一番いけないのです。

かえって夫べったりになって、わずらわしく思われるだけです。

そのためにも、常日ごろから社会とのつながりを作っておきましょう。


最近、国際結婚される方が増えてきました。

そうした方たちの場合、日本の家庭以上に、妻と夫、そして共通の家計の三つの財布。

この区別ができないと円満な家庭は築けません。

この区別をつけられない日本女性も多いのですが、日本の男性の方に、さらに多いようです。

収入をすべて妻に渡してしまう。

渡された外国人妻は、渡された瞬間に、これは自分の所有物と思ってしまうのです。

悪意があってのことではありません。生活習慣の違いです。まさにそれが当然なのです。

グローバル化の波は、ついに家族のあり方にまで波及してきたようです。



第三章


身も心も捧げた女は飽きられる


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